安い中古住宅は「再建築不可」かも|接道義務で後悔しない3つのチェック|宅建士が解説

不動産経営
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中古住宅をさがしていて、こんな物件を見たことはありませんか。「駅から徒歩10分、土地40坪、980万円」。まわりの相場より明らかに安い。写真を見るかぎり建物もそれほど古くない。けれど備考欄に、小さくこう書いてあります――「再建築不可」。

この4文字の意味がわからないまま「安いから」と話を進めてしまうと、あとで取り返しがつきません。今建っている家を壊したら、二度と家を建てられない土地という意味だからです。

私は建築業(とび工)として現場に立ちながら、宅建試験に4回落ちて5回目で合格しました。現場側にいたころ、解体の見積もりを出したあとに「その土地、建て替えできませんよ」と役所で言われて工事が止まった現場を、実際に見ています。この記事では、中古住宅を買う前に自分で確認できる3つのチェックをお伝えします。

「再建築不可」は建物の問題ではなく、道の問題

まず押さえてほしいのは、再建築不可の原因は建物ではないということです。どれだけ建物がきれいでも、リフォームにお金をかけても、この状態は変わりません。原因は、その土地が「どんな道」に接しているかにあります。

建築基準法には接道義務というルールがあります。第43条第1項に、こう書かれています。

建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない(建築基準法43条1項)

そして、ここでいう「道路」は日常の言葉の道路ではありません。第42条第1項が定義していて、原則として幅員4メートル以上のもの(特定行政庁が指定する区域では6メートル)に限られます。つまり、家の前に車が通れる道があっても、それが建築基準法上の「道路」でなければ、法律上は道に接していない土地として扱われます。

接道義務を満たさない土地には、新しく建築確認が下りません。建築確認が下りないということは、建て替えができないということです。今の家は、ルールができる前から建っていたので残っているだけ、というケースがほとんどです。

電卓と日本円の札束と家の模型を前に、ずんだもんが金額に驚いている

本質:損をするのは「買うとき」ではなく「出るとき」

再建築不可の物件は、たしかに安く買えます。問題は、そのあとです。

ひとつめは、住宅ローンが組みにくいこと。金融機関は土地と建物を担保に取りますが、建て替えられない土地は担保としての評価が大きく下がります。現金または金利の高いローンでの購入になりがちです。

ふたつめは、売りたいときに買い手が同じ壁にぶつかること。あなたが安く買えた理由は、次に買う人にとっても同じ理由になります。安く買えた物件は、安くしか売れません。

みっつめは、火事や地震で建物を失ったときです。建て替えられない以上、土地だけが手元に残ります。これが一番こわい話です。安さの正体は値引きではなく、将来の選択肢を手放した対価だと考えてください。

ずんだもんと四国めたんが二人でガッツポーズをしている

買う前に確認する3つのチェック

チェック① 前面道路が建築基準法の「道路」かを役所で聞く

最初にやることは、市区町村の建築指導課(道路種別の担当窓口)で、前面道路の種別を聞くことです。物件の住所を伝えれば、その道が42条1項1号(道路法の道路)なのか、1項5号(位置指定道路)なのか、それとも2項道路なのか、道路ではない「通路」なのかを教えてもらえます。多くの自治体が無料で、窓口や電話で答えてくれます。

「道路ではない」と言われたら、そこで一度止まってください。不動産会社に聞くのももちろん大事ですが、答えを持っているのは役所です。私は現場にいたころ、この一本の電話を入れなかったせいで止まった工事を見ています。

チェック② 敷地が道路に2メートル以上接しているかを自分で測る

道路であることが確認できても、次は接している長さです。43条1項が求めるのは「2メートル以上」。とくに注意したいのが、細い通路の奥に敷地がある旗竿地(はたざおち)です。

通路の幅が1.8メートルしかなければ、それだけで接道義務を満たしません。しかも通路の途中で幅が狭くなっている土地もあります。「入口は2メートルあるが、途中が1.7メートル」では建て替えはできません。内見のときにメジャーを1本持っていって、通路のいちばん狭いところを測ってください。5分で終わります。

チェック③ セットバックが必要かを確かめる(2項道路)

前面道路が幅4メートル未満でも、特定行政庁が指定していれば42条2項の「みなし道路」(2項道路)として扱われ、建て替え自体はできます。ただし条件がつきます。42条2項は、道の中心線から水平距離2メートルの線を道路の境界線とみなすと定めています。

つまり建て替えのときは、その線まで敷地を後退させなければなりません。これがセットバックです。後退した部分には建物も塀も建てられず、建ぺい率・容積率を計算する敷地面積にも入りません。40坪の土地を買ったつもりが、実際に使えるのは36坪だったということが起こります。土地の広さと価格を比べるときは、セットバック後の面積で考えてください。

四国めたんが説明し、ずんだもんがうなずいて聞いている

今日からできる具体アクション

気になる物件があるなら、次の3つを順番にやってください。

  1. 役所に電話して道路種別を聞く(物件の住所を伝えるだけ。所要5分)
  2. 内見にメジャーを持っていき、通路のいちばん狭い場所を測る
  3. 重要事項説明書の2か所を先に見せてもらう

3つめについて補足します。宅建業法35条1項2号は、建築基準法などの法令に基づく制限の概要を、契約前に宅地建物取引士が説明しなければならないと定めています。さらに同項3号は、建物の賃貸以外の契約では私道に関する負担に関する事項の説明を義務づけています。再建築の可否やセットバック、私道の持分や通行の取り決めは、この2か所に書かれます。

そして大事なのは、重要事項説明は契約の直前に行われるという点です。その場で初めて知らされても、もう冷静に判断できません。「契約の前に、重要事項説明書の案を見せてください」と申し込みの段階で伝えてください。まともな不動産会社なら、嫌な顔をせず出してくれます。

なお、接道義務を満たさない敷地でも、43条2項1号の認定や、同項2号の許可(特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可するもの)を受けられれば建築できる道は残されています。ただしこれは個別審査で、受けられるかどうかは土地ごとに違います。「許可が取れるはずです」という口約束では動かないでください。取れるかどうかを確認するのも、やはり役所です。

なお、こうした法令上の制限は、大手仲介会社ほど調査と説明がていねいな傾向があります。購入と同時に今の住まいの売却・住み替えも考えている方は、【三井のリハウス】のような大手で査定と並行して相談してみるのも一つの方法です。

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まとめ:安さの理由を、契約の前に言葉にする

最後に3つのチェックをもう一度まとめます。

  1. 前面道路の種別を役所で聞く。建築基準法42条の「道路」でなければ建て替えはできない
  2. 道路に接する長さを自分で測る。43条1項の2メートルを、いちばん狭い場所で満たしているか
  3. セットバックと重要事項説明書を確認する。42条2項の2項道路なら中心から2メートル下がる。35条1項2号・3号の欄を契約前に読む

中古住宅が安いことには、必ず理由があります。理由が「駅から遠い」「日当たりが悪い」なら、納得して選べばいい話です。けれど理由が「建て替えられない」なら、それは値段の問題ではなく、その土地で将来なにができるかの問題です。

安さの理由を自分の言葉で説明できるようになってから、契約書にサインしてください。役所への電話1本とメジャー1本で確認できることを、先延ばしにしないでいただきたいと思います。

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