宅建試験が終わって、「受かっていたら不動産会社に転職しようかな」と考え始めた方も多いと思います。でも、求人を見ると並んでいるのは「営業」の文字ばかり。ネットで調べると「不動産営業はきつい」「すぐ辞める人が多い」という話も目に入って、一歩が踏み出せない……そんな気持ち、よくわかります。
私自身、鳶の現場で働きながら宅建試験に4回落ち、5回目でようやく合格しました。いまは個人事業主として、不動産の世界にも関わっています。だからこそ、「きつい」という言葉だけで、せっかくの資格を活かす道をあきらめてほしくないと思っています。
今日は、不動産営業が「きつい」と言われる理由を正直に整理したうえで、それでも向いている人の特徴と、転職で失敗しないための確かめ方を紹介します。
結論:「きつい」かどうかは、会社と仕事の種類でかなり変わる
先に結論をお伝えすると、不動産営業がきついかどうかは「どの会社の、どんな営業か」で大きく変わります。
ひとくちに不動産営業といっても、たとえば次のように中身はまったく違います。
- 賃貸の仲介:お部屋探しのお客さんを案内する。来店や問い合わせへの対応が中心
- 売買の仲介:家を買いたい人・売りたい人の間に入る。金額が大きく、契約までの期間も長め
- 投資用物件の販売:自分からお客さんを探す(電話や訪問)スタイルの会社もある
- 賃貸管理:大家さんから預かった物件の入居者対応や契約の更新など。営業色は比較的うすい
「きつい」と言われる話の多くは、このうちの一部の働き方から来ています。「不動産営業」とひとまとめにせず、仕事の種類ごとに考えるのが、迷いを減らすいちばんの近道です。

不動産営業が「きつい」と言われる4つの理由
理由①|成績(数字)がはっきり見える
不動産営業は、契約の件数や売上がはっきり数字で出る仕事です。会社によっては月ごとの目標(いわゆるノルマ)があり、給料に「歩合(成果に応じて増える部分)」が含まれることもあります。
数字で評価されるのが合う人にはやりがいになりますが、毎月の目標に追われるのが苦手な人には、これが一番のプレッシャーになります。
なお、歩合の割合が大きい会社でも、労働基準法27条は「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と定めています。成果がゼロなら給料もゼロ、という働かせ方は認められていません。求人票では固定給がいくらで、歩合がどう付くのかを必ず確かめましょう。
理由②|休みが土日ではないことが多い
お客さんが動きやすいのは土日や祝日です。そのため不動産会社は土日も営業していて、水曜日などの平日を定休日にしている会社がよくあります。
家族や友人と休みが合わない、子どもの行事に出にくい、といった点は、人によっては大きな負担になります。逆に「平日に役所や銀行に行ける」「どこへ行っても空いている」と感じる人もいます。
理由③|大きなお金と、お客さんの人生を預かる
家を買う・借りるというのは、お客さんにとって人生の大きな決断です。そのぶん、ちょっとした説明の行き違いが大きなトラブルにつながりやすい仕事でもあります。
契約の前には、宅建士が重要事項説明書を渡して説明しなければなりません(宅建業法35条)。この説明は宅建士にしかできない仕事です。責任は重いですが、だからこそ資格を持っている人が頼りにされます。
理由④|自分からお客さんを探す営業がある
会社によっては、電話をかけたり、家を訪ねたりして自分からお客さんを探す営業をしているところもあります。断られることが多いので、ここで心が折れてしまう人も少なくありません。
一方で、ホームページやポータルサイトから届いた問い合わせに対応する「反響営業」が中心の会社も多くあります。同じ「営業」でも、毎日の過ごし方はまったく違います。

不動産営業に向いている人・向いていない人
ここまでの理由をふまえて、向き・不向きをチェックリストにしました。当てはまるものに心の中で印をつけてみてください。
向いている人
- □ 人の話を聞くのが好き。相手の困りごとを一緒に考えられる
- □ がんばった分が収入に表れると、やる気が出る
- □ 平日休みでも困らない(むしろうれしい)
- □ 法律やお金の話を覚えるのが苦にならない(宅建の勉強を続けられた人は強いです)
- □ 断られても、引きずらずに次へ行ける
向いていない可能性がある人
- □ 毎月の数字の目標に追われると、強いストレスを感じる
- □ 家族の事情で、どうしても土日に休みたい
- □ 知らない人に自分から電話をかけるのが、とても苦手
「向いていない」に当てはまっても、がっかりしなくて大丈夫です。土日休みの賃貸管理、反響営業だけの会社、契約の事務を担当する仕事など、宅建を活かせる道は営業以外にもあります。
宅建業者は、事務所ごとに業務に従事する人の5人に1人以上の割合で、専任の宅建士を置かなければなりません(宅建業法31条の3・施行規則15条の5の3)。営業が得意でなくても、宅建士は会社にとって必要な存在なのです。

転職で「こんなはずじゃなかった」を防ぐ3つの確かめ方
①求人票で「給料の内訳」と「休日」を見る
月給の数字だけで判断せず、固定給・宅建手当・歩合・固定残業代がそれぞれいくらかを確かめます。休日は「何曜日が休みか」「年間の休日は何日か」まで見ておきましょう。
②面接で「1日の流れ」と「お客さんの集め方」を聞く
「入社した人は、ふだんどんな1日を過ごしていますか」「お客さんは問い合わせが中心ですか」と聞くと、その会社の営業スタイルがよくわかります。聞きにくいことほど、入社前に聞いておくのが後悔しないコツです。
③不動産業界にくわしい人に相談する
求人票だけでは、職場の雰囲気や目標の厳しさまではわかりません。業界の事情を知っている人に話を聞くと、自分に合う会社を絞り込みやすくなります。
同じ悩みを持つ方には、まず宅建Jobエージェント
のような不動産業界専門の転職サービスを覗いてみてほしいです。「ノルマはきびしいですか」「土日休みの求人はありますか」といった、自分では聞きにくい質問も相談できます。無料で使えるので、迷っている段階で話を聞いてみるだけでも十分に価値があります。
今日からできること
- 上のチェックリストで、自分が「向いている」側かを確かめる
- 気になる求人を3つ選んで、給料の内訳と休日を見比べる
- 賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理など、仕事の種類ごとに求人を探してみる
- 迷ったら、業界にくわしい人に相談してみる
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
まとめ|「きつい」の中身を知れば、選べる道は広がる
- 不動産営業がきついかどうかは、会社と仕事の種類で大きく変わる
- きついと言われる理由は、①成績が数字で見える ②休みが土日でないことが多い ③大きなお金と責任を預かる ④自分からお客さんを探す営業がある、の4つ
- 歩合の会社でも、労働時間に応じた賃金の保障が必要(労働基準法27条)
- 重要事項説明は宅建士だけの仕事(宅建業法35条)。事務所には5人に1人以上の専任宅建士が必要(宅建業法31条の3・施行規則15条の5の3)
- 求人票の給料の内訳と休日、面接での1日の流れを確かめれば、入社後のギャップは減らせる
「きつい」という評判は、あなたに合わない働き方の話かもしれません。中身を知ったうえで選べば、宅建はあなたの次のキャリアをしっかり支えてくれます。
※本記事は令和8年10月時点の法令にもとづく一般的な解説です。給与や休日などの条件は会社によって異なります。個別の事情については、専門家や公的な相談窓口にご確認ください。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第27条/「宅地建物取引業法」第31条の3・第35条/「宅地建物取引業法施行規則」第15条の5の3

