家を買う契約のあと、引き渡し前に地震や火事で壊れたら?|「危険負担」で損しない3つのポイント|宅建士が解説

不動産経営
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家を買う売買契約にハンコを押して、あとは住宅ローンの手続きと引き渡しを待つだけ。そんなタイミングで、大きな台風や地震のニュースが流れてきたら、こう思いませんか。

「もし、引き渡しの前に家が壊れたら、代金はどうなるんだろう?」

売買契約から引き渡しまでは、住宅ローンの審査や決済の準備で1〜2か月ほど空くことが少なくありません。その間に、売主にも買主にも責任のない理由で家が壊れてしまうことは、決してゼロではないのです。

私は宅建試験に4回落ちて5回目で合格しましたが、勉強中は「危険負担」という言葉が苦手でした。けれど中身を知ると、家を買う人が知っておくだけで、何百万円・何千万円の損を防げる大事なルールだとわかりました。

今日は、民法と宅建業法の条文で確かめたうえで、引き渡し前に家が壊れたときに損をしない3つのポイントを紹介します。

「危険負担」とは、誰のせいでもない損を誰がかぶるかのルール

地震、台風、近所からのもらい火事。こうした売主にも買主にも責任のない理由で、売買の対象の家が壊れてしまったとき、その損をどちらがかぶるのか。これを決めているのが「危険負担」というルールです。

実は、2020年4月1日に施行された民法の改正で、このルールは大きく変わりました。改正前の民法には「特定の物の売買では、その損は買主(債権者)が負担する」という条文(旧534条)があり、家が無くなっても買主は代金を払わなければならないと読める状態でした。

改正でこの条文は削除され、今は「引き渡し前の損は、原則として買主がかぶらない」形に整理されています。ネット上には改正前の古い説明も残っているので、注意してください。

電卓と日本円の札束と家の模型を前に、ずんだもんが金額に驚いている

引き渡し前に家が壊れても損しない3つのポイント

ポイント①|引き渡し前に家が無くなったら、代金は払わなくていい

民法536条1項は、当事者双方の責めに帰することができない事由で債務を履行できなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができると定めています。

家の売買にあてはめると、地震や火事で家がすべて無くなり、売主が家を引き渡せなくなったら、買主は代金の支払いを断ることができるということです。

さらに、債務の全部の履行が不能なときは、催告をしないで直ちに契約を解除できます(民法542条1項1号)。解除をすれば、お互いに元の状態に戻す義務が生じるので(民法545条1項)、すでに支払った手付金なども返してもらうことができます。

ここで1つ注意があります。536条は「払わなくていい」という拒む権利を定めたもので、契約が自動で消えるわけではありません。お金を返してもらって契約を終わらせたいなら、解除の意思をはっきり伝えることが大切です。

ポイント②|分かれ目は「契約日」ではなく「引き渡し」

では、いつから買主が損をかぶるのか。民法567条1項は、売主が買主に目的物を引き渡した時以後に、双方の責任のない理由で滅失・損傷したときは、買主は修理や代金の減額、損害賠償、解除を求めることができず、代金の支払いも拒めないと定めています。

つまり、損をかぶる人が売主から買主に切り替わるのは「引き渡し」の時です。契約書にハンコを押した日でも、手付金を払った日でもありません。

ふつうの住宅の売買では、残りの代金を払う「決済」の日に、鍵を受け取って引き渡しを受けることが多いです。鍵を受け取ったその日から、家を守るのは自分と覚えておきましょう。

なお、売主がきちんと引き渡そうとしたのに、買主が受け取りを拒んだり、受け取れなかったりした場合は、その時点から買主の負担になります(民法567条2項)。「引っ越しの都合で引き渡しを先に延ばしてほしい」とお願いするときは、この点も頭に入れておいてください。

ポイント③|契約書の「引き渡し前に壊れたとき」の条項を読む

ここまでの民法のルールは、契約書に特別な決まりが無いときの基本ルールです。実際の売買契約書には、多くの場合「引渡し前の滅失・毀損(損傷)」といった条項が入っていて、こちらが優先されます。

宅建業法37条1項10号でも、不動産会社が売買を仲介したときに渡す書面(37条書面)には、「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め」があればその内容を書かなければならないとされています。

一般的な契約書では、次のような決め方がよく見られます。

  • 家が少し壊れたときは、売主が修理してから引き渡す
  • 修理に大きな費用がかかるときや、家が無くなったときは、契約を解除できる
  • 解除したときは、受け取っていた手付金などを返す

確認したいのは、「どこまで壊れたら解除できるのか」「解除したとき、払ったお金は全部返ってくるのか」の2点です。わかりにくければ、重要事項説明や契約の前に、不動産会社の担当者に遠慮なく質問しましょう。

私自身、宅建の知識があっても、実際の契約書を1行ずつ読むのは骨が折れます。だからこそ、物件探しの段階から説明が丁寧な不動産会社を選ぶことが、いちばんの備えになると感じています。大手で説明の体制が整った会社を候補に入れたい方は、【三井のリハウス】も覗いてみてください。

ずんだもんと四国めたんが二人でガッツポーズをしている

あわせて確認したい「火災保険は引き渡し日から」

ポイント②のとおり、引き渡しを受けた瞬間から、家が壊れたときの損は買主の負担になります。そこで大事なのが、火災保険の補償が始まる日です。

  • 火災保険は、引き渡し日(決済日)から補償が始まるように申し込む。決済の日が決まったら、早めに保険の手続きを進める
  • 地震による損害は、火災保険だけでは補償されない。地震保険は火災保険とセットで入るものなので、付けるかどうかを一緒に決める

「引き渡しの数日後から保険が始まる」という空白期間があると、その間に起きた火事や台風の損は、自分でかぶることになります。

四国めたんが説明し、ずんだもんがうなずいて聞いている

今日からできる3つのこと

  1. 契約書の「引渡し前の滅失・毀損」の条項を探して、どこまで壊れたら解除できるかに線を引く
  2. 不動産会社に「引き渡し日(決済日)はいつですか?」と確認し、手帳に書いておく
  3. 火災保険と地震保険の補償が、その引き渡し日から始まるように申し込む



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まとめ

  • 「危険負担」は、誰のせいでもない理由で家が壊れたとき、その損を誰がかぶるかのルール。2020年4月の民法改正で考え方が変わった
  • ポイント①=引き渡し前に家が無くなったら、代金の支払いを拒め、契約も解除できる(民法536条1項・542条1項1号)
  • ポイント②=損をかぶる人が切り替わるのは「引き渡し」の時(民法567条1項)。契約日ではない
  • ポイント③=実際は契約書の条項が優先。「どこまで壊れたら解除できるか」「お金は全部返るか」を確認
  • 火災保険・地震保険は引き渡し日から補償が始まるように入る

家を買うときは、つい「価格」と「ローン」に目が向きがちです。でも、契約から引き渡しまでの数週間に、もしものことが起きたらどうなるか。それを契約の前に知っておくことが、安心して家を買うための大切な準備です。

「自分の契約書の内容で大丈夫なのか」「保険やローンも含めて、お金の段取りを一度整理したい」という方は、宅建士・FP2級の私が ココナラの【住宅ローン本音相談】 で相談に乗っています。気になる方はぜひ。

※本記事は令和8年10月時点の法令にもとづく一般的な解説です。実際の取扱いは契約書の内容によって異なります。個別のケースは、不動産会社や弁護士などの専門家にご確認ください。

出典:民法(明治29年法律第89号)536条・542条・545条・567条/宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)37条1項10号(e-Gov法令検索)

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