賃貸の更新料、払わないとダメ?|契約書で決まる3つのポイント|宅建士が解説

不動産経営
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「更新のお知らせ」と書かれた封筒をあけたら、思っていたより大きな金額が並んでいた——賃貸に住んでいると、2年に一度はこの瞬間がやってきます。家賃1か月分の更新料に、手数料、保険料。合計を見て手が止まった経験のある方は多いはずです。

いちばんよく聞かれるのが「これ、払わないとダメなんですか?」という質問です。結論から言うと、更新料は法律で決まった義務ではありません。国が「更新のときは更新料を払いなさい」と決めている条文は、どこにもありません。

ただし、だからといって「払わなくていい」という話にもなりません。更新料は、契約書に書いてあれば払う約束になるお金だからです。この違いを知らないまま突っぱねると、かえってこじれます。

この記事では、宅建士の立場から、更新の請求書が届いたときに確認したい3つのポイントを、条文と最高裁の判断をもとに整理します。

ポイント① 更新料を決めているのは法律ではなく「契約書」

まず出発点です。建物の賃貸借について定めた借地借家法にも、民法にも、「更新料を支払わなければならない」という条文はありません。更新料は、法律の義務ではなく、あくまで貸主と借主の約束(契約)で発生するお金です。

ですから確認すべきは、法律の条文ではなくあなたの手元にある賃貸借契約書です。契約書に更新料の定めがあれば払う義務が生じ、書いていなければ払う根拠がない

最高裁は「更新料の条項は原則として有効」と判断している

かつては「更新料は消費者に一方的に不利ではないか」として、各地で裁判が起きました。判断が分かれていたこの問題に決着をつけたのが、最高裁判所 平成23年7月15日の判決です。

賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない
(最高裁判所第二小法廷 平成23年7月15日判決)

ポイントは2つです。ひとつは「一義的かつ具体的に記載された」こと。もうひとつは「高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り」という留保です。

つまり、契約書に金額と支払い時期がはっきり書かれていて、金額も相場の範囲内なら、更新料の約束は有効に成立している。「更新料は納得いかないから払わない」は、残念ながら通りません。

なお同じ判決で、最高裁は更新料の性格について「賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する」とも述べています。まったく理由のないお金ではない、という整理です。

逆に「無効」になり得るのはどんなときか

判決が言う「特段の事情」の受け皿になるのが、消費者契約法の10条です。

消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする
(消費者契約法 第10条)

家賃1か月分前後の更新料が2年に一度、という一般的な形であれば、これに当たると判断される可能性は高くありません。一方で、更新のたびに何か月分も請求される、契約書には金額が書かれていないのに口頭で請求される、といったケースは話が別です。まずは書面で内訳を出してもらうところから始めてください。

段ボール箱に囲まれた新居でずんだもんと四国めたんが荷ほどきをしている

ポイント② 更新時の請求は「4つ」に分けて見る

「更新に10万円」と聞くと更新料が10万円のように感じますが、実際の請求書はいくつかの費目の合計です。ここを分けて見るだけで、納得できる部分と確認すべき部分がはっきり分かれます。

費目 誰に払うか 目安
更新料 貸主(大家さん) 家賃の1か月分が多い
更新事務手数料 管理会社・仲介会社 家賃の0.25〜0.5か月分程度
火災保険料 保険会社 2年で1万円台〜2万円台
保証会社の更新保証料 家賃保証会社 年1万円、または家賃の一部

この4つは、性格も相手も別のお金です。とくに更新料と更新事務手数料は混同されがちですが、前者は大家さんへ、後者は管理会社への支払いです。

確認のコツはシンプルで、それぞれの費目について「契約書のどこに書いてあるか」を聞くこと。契約書に根拠のない費目が混ざっていれば、その場で質問して構いません。逆に、契約書に明記されているものは、交渉の余地はあっても「払わない」という選択はできない、と考えておくのが現実的です。

火災保険は「指定の商品」でなくてもよいことが多い

4つのうち、見直しの余地がいちばん大きいのが火災保険です。借主が入る火災保険は、大家さんに対する損害賠償に備える借家人賠償責任の特約が付いていれば足りることが多く、不動産会社が案内する商品でなければならない決まりはありません。同等の補償で保険料が下がるケースもあります。

詳しくは賃貸の火災保険、不動産屋指定じゃないとダメ?でも整理しています。

ずんだもんが困った顔をし、四国めたんが心配そうに寄り添っている

ポイント③ 更新の仕組み(法定更新)を知っておく

3つ目は、そもそも「更新」とは何か、という話です。ここを知っているかどうかで、通知が届いたときの落ち着きがまるで変わります。

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
(借地借家法 第26条第1項)

つまり、期間が満了しても、当事者が何も言わなければ契約は同じ条件で続きます。これを法定更新と呼びます。ただし更新後は「期間の定めがない契約」になる点が、合意して更新する場合との違いです。

さらに、貸主の側から更新を断るにはハードルがあります。

建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(中略)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない
(借地借家法 第28条)

「更新料を払わないなら出ていってもらう」と言われても、貸主側の更新拒絶には正当の事由が必要です。借りている側は、思っているより法律に守られています。あわてて即決しなければならない場面ではありません。

注意:定期借家は「更新」がない契約

ひとつだけ例外があります。定期建物賃貸借(定期借家)は、契約の更新がないことを定めた契約です(借地借家法38条)。期間が満了すれば契約は終了し、住み続けるには再契約が必要になります。契約書の表題や特約に「定期建物賃貸借」と書かれていないか、更新の通知が来ない場合はとくに確認してください。

ずんだもんがノートにメモを取り、四国めたんが見守っている

更新するか、引っ越すか。比べてから決める

ここまでを踏まえたうえで、最後は数字の比較です。更新のお知らせは、期間満了の3か月前ごろに届くのが一般的で、判断のための時間はあります。

更新にかかる費用が10万円前後だとしても、引っ越す場合は敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・引越し代で、20万円を超えることも珍しくありません。「更新料が高い」と感じても、動いたほうが高くつくことは珍しくありません。

私自身、更新のたびに一度は他の物件を見るようにしていますが、結果として「今の部屋のほうが条件がいい」と分かって更新した年のほうが多いです。比べたうえで納得して払うお金は、同じ金額でも気持ちがまったく違います

相場を知るには、いま住んでいるエリアの同じ条件の部屋を一度見ておくのがいちばん早いです。

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もし引っ越すと決めたなら、忘れやすいのが電気とガスです。引越しは契約を見直す数少ないタイミングで、切り替え自体は無料、比較も数分で終わります。毎月の固定費が下がれば、更新料1回分くらいの差はすぐに埋まります。

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まとめ:更新料は「契約書」で決まる

最後に3つのポイントを整理します。

  1. 更新料は法律の義務ではなく契約の約束。契約書に一義的かつ具体的に書かれていれば、最高裁の判断では原則として有効です。
  2. 請求は4つに分けて見る。更新料・更新事務手数料・火災保険料・保証会社の更新保証料。それぞれ相手も性格も違います。
  3. 法定更新の仕組みを知っておく。期間満了の1年前から6か月前までに通知がなければ同じ条件で更新され、貸主の更新拒絶には正当の事由が必要です(借地借家法26条・28条)。

更新のお知らせが届いたら、まず契約書を開く。これだけで、支払う金額の意味がわかります。わからないまま払うのと、わかったうえで払うのは、まったく違います

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※本記事は一般的な情報の整理であり、個別の契約内容によって結論が変わることがあります。金額や条項でお困りのときは、お住まいの自治体の住宅相談窓口や弁護士等にご相談ください。

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