宅建業で開業、仲介と“自ら売主”どっちから始める?|お金・リスク・ルールの違いを表で比べてみた

宅建で開業・独立
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宅建業の免許を取って開業したら、まず何で稼ぐのか。「お客さんの売買や賃貸を仲介する」のか、それとも「自分で物件を仕入れて自ら売主として売る」のか。開業を考えはじめると、一度はこの2つで迷うはずです。

どちらも同じ宅建業ですが、お金の入り方も、必要な資金も、守らなければいけないルールも大きく違います。この記事では、仲介と自ら売主の違いを4つの項目で表にして比べてみました。

結論:ひとり開業なら「仲介」から始める人が多い

先に結論を言うと、資金が限られるひとり開業では、物件を持たない「仲介」から始めるのが手堅い選び方です。自ら売主は大きな利益をねらえる一方で、物件を買うお金と、売れ残ったときのリスクを自分で背負うことになります。

まずは全体を表で見てみましょう。

比べる項目 仲介(媒介) 自ら売主
① お金の入り方 成約したときの仲介手数料(上限は法律で決まっている) 売った値段と仕入れた値段の差(もうけにも損にもなる)
② 必要な資金 少なめ(事務所や保証協会など開業の費用が中心) 多い(物件を買うお金・リフォーム代などが先に出ていく)
③ リスク 物件を持たないので在庫の心配はない 売れ残り・値下がり・修繕の負担を自分が背負う
④ 守るルール 報酬の上限・媒介契約・重要事項説明など 上に加えて、買主を守る「8種制限」がかかる
不動産店舗の前でずんだもんと四国めたんが新しい看板を掲げている

① お金の入り方|手数料か、売買の差額か

仲介の収入は、売買や賃貸が成約したときにもらう仲介手数料(報酬)です。報酬の額は宅建業法46条にもとづく国の告示で上限が決まっていて、たとえば400万円を超える売買なら「売買価格×3%+6万円(+消費税)」が上限です。上限があるぶん、1件あたりの収入は読みやすいと言えます。

自ら売主の収入は、物件を仕入れた値段と、売った値段の差額です。報酬の上限はありませんが、思ったより安くしか売れなければ、そのまま損になります。

報酬の上限のくわしい計算は宅建業で開業したら仲介手数料はいくらもらえる?で解説しています。

四国めたんが説明し、ずんだもんがうなずいて聞いている

② 必要な資金|仕入れのお金がいるかどうか

仲介の場合、開業時にかかるのは事務所の準備や保証協会への加入など、主に開業そのものの費用です。物件を買う必要はありません。

一方、自ら売主は物件を買うお金が必要です。中古の家を買ってリフォームして売るなら、リフォーム代も先に出ていきます。融資を使う場合も、売れるまでの間は返済や固定資産税などの負担が続きます。

個人事業主として仕事をしてきた実感としても、手元のお金が少ない開業直後ほど、「先にお金が出ていく形」は避けたほうが安心です。開業時の費用の内訳は宅建士の開業はいくらかかる?、保証協会のしくみは保証協会で60万円に抑える方法にまとめています。

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ずんだもんと四国めたんが二人でガッツポーズをしている

③ リスク|在庫を持つかどうか

仲介は物件を持たないので、売れなかったときに損をかかえることはありません(もちろん、成約しなければ収入もゼロです)。

自ら売主は、物件を在庫として持つことになります。

  • なかなか売れず、値下げしないと買い手がつかない
  • 買ったあとで建物の不具合が見つかり、修繕費がかさむ
  • 売れるまでの間も、ローンの返済や税金がかかり続ける

1件の失敗が、ひとり会社の資金を一気に減らしてしまうこともあります。自ら売主に進むなら、物件を見る目と、損に耐えられる資金の両方が必要です。

④ 守るルール|自ら売主には「8種制限」がかかる

仲介でも、報酬の上限・媒介契約書・重要事項説明・37条書面などのルールは守る必要があります。そのうえで、宅建業者が自ら売主になり、宅建業者ではない一般の買主に売るときは、買主を守るための特別なルールがかかります。これが、いわゆる「8種制限」です。

ルール ざっくりした中身 条文
他人の物件の売買の制限 まだ自分のものになっていない物件は、原則として売る契約をしてはいけない 33条の2
クーリング・オフ 事務所など以外の場所で申し込んだ買主は、書面で撤回・解除できる(告げられた日から8日を過ぎるまで等) 37条の2
損害賠償額の予定等の制限 違約金などの合計は代金の2割まで 38条
手付の額の制限等 手付は代金の2割まで。手付は解約手付として扱われる 39条
担保責任の特約の制限 契約不適合の通知期間を「引渡しから2年以上」とする特約以外で、買主に不利な特約は無効 40条
手付金等の保全 一定額を超える手付金などを受け取る前に、保証などの保全措置が必要 41条・41条の2
割賦販売の契約解除等の制限 分割払いの遅れで解除するには、30日以上の期間を定めた書面での催告が必要 42条
所有権留保等の禁止 分割払いの売買で、所有権を売主に残しておくことを原則禁止 43条

手付金等の保全は、工事完了前の物件なら代金の5%、完成した物件なら10%を超えるか、1,000万円を超える手付金などを受け取るときに必要になります(41条・41条の2、施行令3条の5)。

なお、宅建業法78条2項により、これらのルールは宅建業者どうしの取引には適用されません。一般のお客さんに売るときほど、守ることが増えると覚えておきましょう。

どちらを選ぶ?こんな人に向いている

仲介から始めるのが向く人 自ら売主を考えてもいい人
開業資金が限られている 物件を買っても生活に困らない資金がある
まずは地域の物件と人脈を知りたい 不動産の価格を見る経験を積んでいる
失敗したときの損を小さくしたい 8種制限など売主のルールを理解している

多くの人にとって現実的なのは、まず仲介で地域の相場と人のつながりをつくり、資金と経験がたまってから自ら売主を考えるという順番です。媒介契約の基本は開業したら最初に結ぶ「媒介契約」、初めての契約の前に確認したいことは初めての契約、その前に見るチェック表でまとめています。

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まとめ|まずは仲介で、足元を固めてから

仲介と自ら売主の違いを、4つの項目でふり返ります。

  • ① お金の入り方:仲介は上限のある手数料、自ら売主は売買の差額(損もある)
  • ② 必要な資金:自ら売主は物件を買うお金が先に出ていく
  • ③ リスク:自ら売主は売れ残り・値下がり・修繕を自分で背負う
  • ④ 守るルール:一般の買主に自ら売主で売るときは「8種制限」がかかる

どちらが正解というより、「今の自分の資金と経験に合うのはどちらか」で選ぶのが大切です。焦らず、できるところから一歩ずつ進めていきましょう。

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