気になる家が見つかって、不動産会社の担当者から「まずは住宅ローンの事前審査を出しておきましょう」と言われた。でも、こんな疑問が頭に浮かびませんか。
「事前審査と本審査って、何が違うの?」「事前審査に通ったら、もう安心していいの?」
住宅ローンの審査は、家を買う流れの中で2回あるのがふつうです。この2つの違いを知らないまま進めると、「事前審査は通ったのに、本審査で落ちた」「審査の途中でやってはいけないことをしてしまった」というつまずきにつながります。
今日は、家を買う前によく出てくる質問を7つ選び、Q&Aの形でまとめました。法律の部分は宅建業法の条文で確かめています。銀行ごとに違うところは「目安」として書いているので、最後は申し込む金融機関で確認してください。
Q1.事前審査と本審査は、何が違うの?
ひとことで言うと、事前審査は「この人にいくらまで貸せそうか」の簡易チェック、本審査は「この人に、この家で、本当に貸すか」の正式な審査です。
| 事前審査(仮審査) | 本審査 | |
|---|---|---|
| 申し込む時期 | 売買契約の前 | 売買契約の後 |
| 主に見られること | 年収・勤務先・勤続年数、ほかの借入れ、信用情報 | 事前審査の内容の確認に加えて、健康状態(団体信用生命保険)や物件の担保としての価値など |
| 書類 | 少なめ(ネットで入力だけの銀行もある) | 本人確認書類・収入の証明・売買契約書・重要事項説明書など、多い |
| かかる日数の目安 | 数日程度 | 書類をそろえてから1〜2週間程度 |
日数はあくまで目安で、金融機関や時期によって変わります。本審査のほうが「見られる範囲が広い」と覚えておくと、この先の質問の答えがわかりやすくなります。

Q2.事前審査は、いつ申し込めばいい?
買いたい家が決まり、売買契約を結ぶ前に申し込むのが一般的です。売主から見ると「この買主は本当にローンを組めるのか」が気になるところなので、事前審査の結果が出ていると話が進めやすくなります。
反対に、事前審査をせずに売買契約を結んでしまうと、借りられる金額が足りなかったときに慌てることになります。気になる物件が出てきたら、早めに担当者へ相談しておくのがおすすめです。

Q3.事前審査に通ったら、本審査も通る?
残念ながら、事前審査に通っても、本審査で必ず通るとは限りません。Q1の表のとおり、本審査では見られる範囲が広がるからです。
本審査でつまずきやすいのは、たとえば次のような場面です。
- 健康状態:多くの住宅ローンでは団体信用生命保険(団信)への加入が条件で、本審査で健康状態の告知をします。
- 物件の評価:物件の担保としての価値が、借りたい金額に届かないと判断されることがあります。
- 申告と書類の食い違い:事前審査で入力した年収やほかの借入れが、本審査の書類と違っていると問題になります。
- 事前審査のあとの変化:転職や新しい借入れなど(Q5で説明します)。
事前審査では、年収もほかの借入れも、正直に正確に入力することが、結局いちばんの近道です。

Q4.いくつもの銀行に、同時に申し込んでいい?
比べるために2〜3の金融機関に出すのは、よくあることです。ただし、むやみに数を増やすのはおすすめしません。
ローンを申し込むと、金融機関は信用情報機関に照会をします。たとえば信用情報機関のCICでは、申込みの情報が照会日から6か月間登録されます。短い期間にたくさん申し込んだ記録が残ると、審査で不利に見られることがあるので、本命の候補に絞って申し込むのが無難です。
Q5.事前審査から本審査までの間に、やってはいけないことは?
事前審査は「その時点のあなた」を見て出た結果です。本審査までに状況が変わると、結果がひっくり返ることがあります。次のことは、引き渡し(決済)が終わるまで控えると安心です。
- 転職・退職をする(勤務先や勤続年数は審査の大事なポイントです)
- 車のローンやカードローンなど、新しい借入れをする
- クレジットカードや携帯電話の分割払いの支払いを遅らせる
どうしても転職などの予定がある場合は、隠さずに不動産会社の担当者と金融機関に先に相談してください。
Q6.本審査に落ちたら、払った手付金はどうなる?
ここで大事になるのが、売買契約書の「ローン特約(融資特約)」です。決められた期日までに住宅ローンの承認がおりなかったときに、契約を白紙に戻して、手付金を返してもらえるようにする約束です。
宅建業法では、不動産会社が住宅ローンのあっせんをする場合、ローンが成立しないときの措置を、契約前の重要事項説明で説明すること(35条1項12号)、契約書面に書くこと(37条1項9号)が決められています。
ただし、ローン特約には期限があり、どの金融機関の、いくらの融資が対象かも契約書に書かれています。期限を過ぎたり、対象外の銀行に勝手に変えたりすると、守ってもらえないことがあります。くわしくは、こちらの記事でまとめています。
▶ 住宅ローンが通らなかったら契約はどうなる?ローン特約で手付金を守るポイント
Q7.自営業(個人事業主)でも、審査は受けられる?
受けられます。ただ、会社員と比べると、収入を証明する書類として確定申告書(数年分)などを求められることが多いです。必要な年数や書類は金融機関によって違うので、早めに確認しておきましょう。
私自身も建築業(鳶)の個人事業主として働いてきたので、「会社員と同じようにはいかない」という不安はよくわかります。経費を多く計上して所得が小さく見えると、借りられる金額にも影響しやすい点は、家を買う予定がある人は頭に入れておくと安心です。
まとめ|事前審査は「入口」、本審査までが本番
- 事前審査は契約前の簡易チェック、本審査は契約後の正式な審査
- 事前審査に通っても、本審査で落ちることはある(健康状態・物件の評価・状況の変化)
- 申込みはむやみに増やさず、本命に絞る
- 本審査から引き渡しまでは、転職・新しい借入れ・支払いの遅れを控える
- 万一に備えて、売買契約書のローン特約(期限と対象の金融機関)を必ず確認する
審査の流れを知っておくだけで、「通ったと思ったのに」という不安はぐっと減らせます。家探しを始めたら、まずは担当者に事前審査のタイミングを相談してみてください。
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