転職先の不動産会社は大丈夫?|免許番号でわかる3つのこと|宅建士が解説

不動産経営
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求人票を見ていると、どの不動産会社も同じように見えてきます。「未経験歓迎」「宅建手当あり」「アットホームな職場」——書いてあることは魅力的なのに、いざ応募ボタンを押そうとすると、指が止まる。そんな経験はないでしょうか。

口コミサイトを開いても、書かれているのは匿名の感想ばかりで、本当かどうかは分かりません。でも不動産会社にかぎっては、口コミより先に見るべき「公的な情報」が存在します。しかもそれは、宅建の勉強をした人なら読み方が分かるものです。

私自身、宅建士として不動産の実務に関わってきましたが、会社の輪郭は、面接に行く前にかなりの部分まで分かります。名刺や広告に必ず載っている「免許番号」が、その入口です。

この記事では、転職先の不動産会社を面接前に調べるために、①免許番号のカッコの数字 ②行政処分の履歴 ③保証協会か供託かという3つの確認ポイントに絞って解説します。

不動産会社は「情報が公開されている」珍しい業種

まず前提を押さえてください。宅地建物取引業は免許制で、その免許の記録は、役所が名簿として保管しています。そして宅地建物取引業法10条は、こう定めています。

国土交通大臣又は都道府県知事は、国土交通省令の定めるところにより、宅地建物取引業者名簿(中略)を一般の閲覧に供しなければならない。(宅地建物取引業法10条)

「一般の閲覧に供しなければならない」——つまり、誰でも見られるようにすることが役所の義務になっているということです。

なぜここまで公開されているのか。理由は単純で、不動産は取引金額が大きく、知識の差で一般の人が損をしやすいからです。だから国は、業者側の情報を先に開示させる仕組みを作りました。

この仕組みは本来、お客さんを守るためのものです。ただ、そこに載っている情報は、これから働く側の私たちにとっても同じくらい役に立ちます。転職先を選ぶときに使わない手はありません。

スーツ姿のずんだもんが面接に向かい、四国めたんが応援している

それでも多くの人が調べないまま入社する3つの理由

公開されているのに、実際に調べてから面接に行く人はほとんどいません。理由は次の3つに集約されます。

理由① 免許番号を「ただの記号」だと思っている

「東京都知事(3)第○○○○○号」のような表記を、会社案内で見たことがあると思います。多くの人はこれを、電話番号のような意味のない並びとして読み飛ばしています。実際には、ここには免許を出した役所と、その会社が何年営業してきたかのヒントが入っています

理由② 行政処分は「公表されない」と思い込んでいる

業務停止や指示処分といった行政処分は、表に出ない内部的なものだと思われがちです。しかし実際は逆で、国土交通省が専用の検索サイトで公開しています。知らないから見ない、というだけのことです。

理由③ 判断材料が「求人票と面接」だけになっている

求人票も面接も、会社が見せたい情報を会社が編集して出す場です。都合の悪い話は、こちらから聞かないかぎり出てきません。相手が用意した資料だけで判断しているかぎり、入社してから気づく構造は変わらないのです。

逆に言えば、外側から取れる情報を1つ足すだけで、判断の質は大きく変わります。ここからが本題です。

四国めたんがホワイトボードの前で要点をまとめている

確認① 免許番号のカッコの数字=更新した回数

免許番号は「(都道府県知事または国土交通大臣)+(カッコの数字)+第○○○号」という形をしています。ここで注目するのがカッコの中の数字です。

これは免許を更新した回数を表しています。そして更新の周期は法律で決まっています。

前項の免許の有効期間は、五年とする。(宅地建物取引業法3条2項)

免許は5年で切れ、営業を続けるには更新が必要です(同条3項)。つまりカッコが(1)なら5年未満、(3)なら10年以上、(5)なら20年以上営業している計算になります。求人票に書かれていない「会社の年輪」が、番号ひとつで見えるわけです。

ただし、ここで2つ注意してほしいことがあります。

  • 数字が小さい=危ない会社、ではありません。商号変更や免許換え(事務所の増設などで知事免許から大臣免許に変わること)をすると、番号は新しく振り直されます。設立が古くても(1)になっているケースはあります。気になったら面接で「以前は別の免許番号でしたか」と聞けば済む話です
  • 頭の「知事」「大臣」は会社の規模ではありません。宅建の勉強で出てくるとおり、2つ以上の都道府県に事務所があれば国土交通大臣免許、1つの都道府県だけなら都道府県知事免許です(3条1項)。大臣免許=大企業ではなく、単に事務所の置き方の違いです

この2点を取り違えると、優良な会社を誤って外してしまいます。数字は「会社に質問するきっかけ」として使うのが正解です。

ずんだもんが驚き、四国めたんが横で微笑んでいる

確認② 行政処分を受けていないか

次に見るのが、その会社が過去に行政処分を受けていないかどうかです。調べ方は2つあります。

国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」で引く

国土交通省は、所管する事業者の行政処分情報をまとめたネガティブ情報等検索サイトを公開しています。事業分野から「不動産の売買・管理」→「宅地建物取引業者」を選ぶだけで、処分の記録を検索できます。会員登録も費用も不要です。

あわせて、国土交通省の宅地建物取引業者検索では、商号や免許番号から免許の情報そのものを確認できます。求人票に書かれた免許番号が実在するかどうかも、ここで照合できます。

宅地建物取引業者名簿には処分歴が載る

もう1つが、冒頭で触れた名簿です。名簿に何を載せるかは法律が指定しており、その中にこうあります。

第六十五条の規定による処分を受けたことがあるときは、当該処分の年月日及び内容(宅地建物取引業法8条2項4号)

65条は、指示処分や業務停止処分を定めた条文です。つまり処分を受けた事実は、免許証番号や免許の年月日と並んで、役所の名簿に記録として残ります。そしてその名簿は10条により一般の閲覧に供されています。免許を出した都道府県庁の担当窓口で閲覧できます。

検索して何も出てこなければ、それも立派な安心材料です。「調べたけれど何もなかった」と分かっている状態で面接に行くのと、何も知らずに行くのとでは、こちらの落ち着きがまったく違います。

確認③ 保証協会に入っているか、供託か

3つめは、お客さんが損害を受けたときの備えです。宅建業者は営業を始める前に、次のどちらかを選ばなければなりません。

  • 営業保証金を供託する……主たる事務所につき1000万円、その他の事務所は1か所につき500万円を法務局に預ける(法25条・施行令2条の4)
  • 保証協会に加入する……弁済業務保証金分担金として、主たる事務所につき60万円、その他の事務所は1か所につき30万円を協会に納める(法64条の9・施行令7条)

金額の差は歴然です。1000万円を自前で用意するか、60万円で協会に入るか——実務上、多くの会社は保証協会を選んでいます

見分け方は簡単で、店頭や名刺、ホームページに入っている協会のマーク(ハトのマーク、ウサギのマーク)が加入の目印になります。どちらでもなければ供託組ということです。

転職者にとって重要なのは、どちらが偉いかではありません。保証協会に加入していれば、協会が実施する研修や相談窓口を会社として使えるということです。未経験で入るなら、教育の土台がある環境かどうかは効いてきます。面接で「協会の研修は受けさせてもらえますか」と聞くと、社員教育に対する温度がはっきり分かります。

今日からできる具体アクション(所要30分)

やることは多くありません。応募ボタンを押す前に、この順番でどうぞ。

  1. 求人票か会社サイトで免許番号を探す。「免許番号」「宅地建物取引業者免許」の表記が見つからない会社は、その時点で一度立ち止まってください
  2. カッコの数字を読む。更新回数×5年で、おおよその営業年数を見積もる
  3. ネガティブ情報等検索サイトで会社名を検索する。処分歴の有無を確認する
  4. 協会のマークの有無を確認する。ハト・ウサギがあれば保証協会加入
  5. 調べて出てきた疑問を、面接の逆質問に変える。「免許は何年に取られたんですか」「協会の研修は使えますか」——調べた人にしかできない質問です

私が転職の相談を受けていて思うのは、受かることばかりに意識が向いて、選ぶ側の準備をしている人が少ないということです。宅建に合格した人は、この調べ方が分かる数少ない応募者です。使わないのはもったいない。

その上で、求人そのものの選択肢を広げたいなら、不動産業界に特化したエージェントを併用するのが近道です。私自身、当時これを知っていたら、もっと早く業界の内側の話を聞けていたと思います。

宅建Jobエージェント

非公開求人や、その会社の離職率といった「求人票に書けない話」は、業界に入り込んでいる人に聞くのが確実です。登録は無料なので、情報を取りにいく手段として持っておいて損はありません。

まとめ

転職先の不動産会社を、面接前に調べる3つのポイントを振り返ります。

  • ①免許番号のカッコの数字……更新回数。有効期間は5年(法3条2項)なので、営業年数の目安になる。ただし免許換えや商号変更で振り直されることもある
  • ②行政処分の履歴……国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで検索。処分歴は業者名簿にも登載され(法8条2項4号)、名簿は一般の閲覧に供される(法10条)
  • ③保証協会か供託か……供託なら主たる事務所1000万円、協会加入なら分担金60万円。協会加入なら研修や相談窓口という土台がある

どれも無料で、合わせて30分あれば終わります。宅建の勉強でやった条文が、自分の働く場所を選ぶために使える——これは合格した人だけの特権です

会社に選ばれるだけの転職から、会社を選ぶ転職へ。その第一歩は、免許番号をきちんと読むことから始まります。

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