夜、ようやく布団に入ったころに、天井から「ドン、ドン」と足音が響く。休みの日の朝には、隣の部屋から大きな音楽が聞こえてくる。賃貸に住んでいると、音の悩みは誰にでも起こりえます。
音の問題がつらいのは、毎日続くうえに、相手の顔が見えにくいことです。「我慢するしかないのかな」「でも、このままだと眠れない」と、ひとりで抱え込んでしまう人も少なくありません。
ところが、騒音トラブルは最初の動き方をまちがえると、音そのものより人間関係がこじれてしまうことがあります。この記事では、よくある4つの失敗パターンと、悩んだときに最初にすること、次の部屋選びで同じ思いをしないためのコツをまとめました。
騒音トラブルの本質は「音」より「伝え方の順番」
集合住宅では、音がまったく聞こえない部屋はほとんどありません。生活の音はある程度お互いさまで、問題になるのは「ふつうに暮らしていて我慢できる程度を超えているかどうか」です。
そして借主には、自分で相手と交渉しなくても、大家さんや管理会社に相談する道があります。民法601条では、大家さんは借主に部屋を使わせる約束をする立場と決められていて、多くの賃貸借契約書にも「近隣に迷惑をかける行為をしてはいけない」というルールが書かれています。
つまり、騒音は「当事者どうしでケンカするもの」ではなく、「管理する人を通して解決するもの」なのです。この順番を飛ばしてしまうことが、失敗の多くにつながっています。

後悔しやすい4つの失敗パターン
失敗①|いきなり相手の部屋に文句を言いに行く
うるさいと感じた勢いで、相手のドアをノックしてしまう。気持ちはとてもよくわかりますが、これがいちばんこじれやすいパターンです。
相手は自分が出している音に気づいていないことも多く、突然言われると身構えてしまいます。顔を合わせたことで、かえって気まずさや逆恨みが残ることもあります。まずは管理会社や大家さんに相談するのが基本です。
失敗②|記録をとらずに「うるさいです」とだけ伝える
管理会社に連絡しても、「いつ、どんな音が、どのくらい続いたのか」がわからないと、注意の文書も書きにくくなります。
おすすめは、日時・音の種類・続いた時間をメモしておくことです。「平日の23時ごろから30分ほど、上の階で走るような足音」のように書いておくと、管理会社も相手に伝えやすくなります。スマホで音を録音しておくのも材料になります。
失敗③|壁や天井をたたいて「やり返す」
我慢の限界になると、つい壁をドンとたたいたり、こちらも大きな音を出したりしたくなります。
でも、これをすると今度は自分が「騒音を出している人」として見られてしまうおそれがあります。管理会社に相談したときも、「お互いさま」と受け取られて話が進みにくくなります。つらいときほど、やり返さないことが自分を守ります。
失敗④|我慢しすぎて、限界になってから引越す
誰にも言わずに何か月も耐えて、ある日もう無理だと急いで引越す。このパターンでは、引越し代や新しい部屋の初期費用が、思わぬ出費として重なります。
早めに相談していれば、注意の文書で収まったかもしれません。「こんなことで相談していいのかな」と思う段階で、一度伝えてみることが大切です。

悩んだら最初にすること|相談の順番
騒音に悩んだら、次の順番で動くと落ち着いて対応できます。
- 記録をとる:日時・音の種類・続いた時間をメモし、できれば録音する
- 管理会社か大家さんに相談する:電話だけでなく、メールなど文字でも残しておく
- 様子を見て、変わらなければもう一度伝える:記録を見せながら「まだ続いています」と具体的に伝える
- それでも困ったら外の窓口へ:緊急ではない相談なら、警察相談専用電話「#9110」も使えます(今まさに危険があるときは110番)
私自身、宅建の勉強で民法や借地借家法を学んだとき、「借主には借主の守られ方がある」と知って、ずいぶん気持ちが楽になりました。宅建は5回目でようやく合格しましたが、こうした知識は試験のためだけでなく、暮らしの中でこそ役に立つと感じています。

次の部屋選びで騒音を防ぐコツ
私は建築業(鳶)の仕事で、建物ができあがる前の骨組みをたくさん見てきました。その立場から言うと、音の伝わりやすさは、建物の造りと部屋の位置で大きく変わります。
- 建物の構造を確認する:一般的に、木造や軽量鉄骨より、鉄筋コンクリート造(RC造)のほうが音は伝わりにくいとされています
- 部屋の位置を選ぶ:最上階なら上の足音がなく、角部屋なら隣り合う部屋が少なくなります
- 内見は時間を変えて:可能なら夕方や休日にも建物の前を通り、生活の音や様子を見てみる
- 掲示板を見る:「騒音にご注意ください」の張り紙が何枚もあれば、トラブルが続いているサインかもしれません
- 不動産会社に聞く:「この部屋や建物で、音の苦情は出ていませんか?」と遠慮なく聞いてみましょう
今の部屋の悩みがなかなか解決しないときは、住み替えも選択肢のひとつです。次の部屋を探すなら、住む場所決まった?新生活のお部屋探しはアパマンショップで
のような全国にお店がある不動産会社で、構造や部屋の位置の条件を伝えて相談してみるのも手です。
今日からできること
- スマホのメモに「騒音メモ」を作り、次に音がしたら日時と内容を書く
- 契約書を出して、管理会社の連絡先と「迷惑行為」の項目を確認する
- 引越しを考えているなら、希望条件に「構造」と「部屋の位置」を書き足す
まとめ|ひとりで抱えず、順番どおりに
騒音トラブルで後悔しやすいのは、次の4つでした。
- いきなり相手の部屋に文句を言いに行く
- 記録をとらずに「うるさい」とだけ伝える
- 壁や天井をたたいてやり返す
- 我慢しすぎて、限界になってから引越す
「記録して、管理会社に相談する」。この順番を覚えておくだけで、音の悩みはずっと解決しやすくなります。毎日を過ごす部屋だからこそ、ひとりで我慢しすぎないでくださいね。
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。※記事の内容は一般的な情報です。個別のケースは契約書の内容や建物の状況によって変わります。
