宅建業の免許が下りない人とは?|開業前に確認したい「欠格事由」3つのポイント|宅建士が解説

不動産経営
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宅建に合格して、「いつかは自分で不動産屋をやりたい」と考えはじめた——。
そこまでは順調でも、宅建業免許の申請書類を眺めていて、ふと不安になることがあります。「そういえば、免許って誰でも取れるんだろうか」と。

私も開業の準備を進めるなかで、この点をいちばん最初に確認しました。というのも、宅建業の免許には合格・不合格とはまったく別の「人としての審査」があるからです。ここで引っかかると、事務所を借りても保証協会に入っても、免許は下りません。

この記事では、宅地建物取引業法5条が定める「免許の基準」——いわゆる欠格事由について、開業前に必ず確認しておきたい3つのポイントを、条文を引きながら整理します。ほとんどの方は心配いらない話ですが、「知らずに申請して差し戻された」を防ぐために、一度だけ目を通しておいてください。

免許には「合格」とは別の審査がある(宅建業法5条)

まず全体像から。

宅建業法5条1項は、国土交通大臣または都道府県知事は、免許を受けようとする者が同項各号のいずれかに該当する場合、または申請書・添付書類に重要な事項について虚偽の記載があるなどの場合には、「免許をしてはならない」と定めています。

ポイントは語尾です。「免許をしないことができる」ではなく「免許をしてはならない」。つまり行政の裁量ではなく、該当したら一律に不許可ということです。事情を説明して認めてもらう、という余地はありません。

この各号が全部で15号あり、まとめて欠格事由と呼ばれています。中身は大きく分けるとこうなります。

  • 過去の刑罰・処分に関するもの(1号・2号・5号・6号・8号など)
  • 反社会的勢力に関するもの(7号・14号)
  • 申請者以外の人に関するもの(11号〜13号)
  • 事務所の体制に関するもの(15号)

15個すべてを暗記する必要はありません。開業前に自分で確認すべきなのは、実質3つです。順に見ていきます。

不動産店舗の前でずんだもんと四国めたんが新しい看板を掲げている

ポイント①:過去5年をさかのぼって見られる

欠格事由でいちばん多いのが「5年」という区切りです。代表的なものを挙げます。

拘禁刑以上の刑(5条1項5号)

拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は免許を受けられません。

「拘禁刑」という言葉に見慣れない方もいると思います。これは懲役と禁錮が一本化された新しい刑の名称で、改正刑法の施行にともない、宅建業法の条文もこの表記に変わりました。試験勉強で「禁錮以上の刑」と覚えた方は、頭のなかで置き換えておいてください。

起算点は「判決が出た日」ではなく刑の執行が終わった日です。ここを読み違えると、5年の数え方が大きくずれます。

一定の罪による罰金(5条1項6号)

罰金は原則として欠格事由になりませんが、罪名によっては対象になります。条文が挙げているのは、宅建業法違反、暴力団対策法違反、そして刑法の傷害(204条)・暴行(208条)・脅迫(222条)・背任(247条)など、暴力行為等処罰法の罪です。これらで罰金刑を受けると、執行を終わった日から5年です。

逆にいえば、これ以外の罰金——たとえば道路交通法違反による罰金——は5条1項6号の対象外です。また、交通違反でよくある「反則金」はそもそも刑罰ではないので、青キップを切られた経験があっても免許には影響しません。

免許の取消し・不正行為(5条1項2号・8号)

過去に宅建業者として免許を取り消された場合、取消しの日から5年。また、免許の申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者も対象です(8号)。

執行猶予・破産はどうなる?

よく質問されるのがこの2つです。

  • 執行猶予……猶予期間を無事に満了すれば、刑の言渡しは効力を失います。したがって猶予期間が明けた時点で欠格事由には当たりません。「そこからさらに5年」ではありません
  • 破産……1号が対象としているのは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」です。免責許可決定が確定して復権していれば、免許は受けられます

この2つは「もうダメだ」と思い込んで開業をあきらめてしまう人が多いところです。条文をそのまま読めば、道は残っています。

ずんだもんが困った顔をし、四国めたんが心配そうに寄り添っている

ポイント②:見られるのは「あなた」だけではない

2つ目が、意外と見落とされるところです。

5条1項12号は、法人でその役員または政令で定める使用人のうちに、1号から10号までのいずれかに該当する者があるものを欠格としています。さらに13号は、個人事業でも、政令で定める使用人に該当者がいれば欠格としています。

つまり社長本人がクリーンでも、役員や支店長に該当者がいれば免許は下りないということです。

「役員」の範囲は肩書きでは決まらない

ここでいう役員とは、条文上「業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者」とされています。加えて——ここが重要なのですが——相談役、顧問、その他いかなる名称であるかを問わず、法人に対しこれらの者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含むと明記されています(5条1項2号かっこ書)。

登記簿に載っている肩書きだけで判断されるわけではない、ということです。「名前を貸してもらうだけ」「実質的なオーナーは別にいる」といった形は、そのまま審査の対象になります。

「政令で定める使用人」とは

実務上は、支店長・営業所長など、事務所の代表者として契約を締結する権限を持つ人を指します。1人で開業するなら該当者はいませんが、仲間と始める場合や、将来支店を出す場合には必ず関わってきます。

一緒に会社を立ち上げる相手に過去の話を聞くのは、正直やりにくいものです。ただ、申請の段階で必ず全員分の証明書類を出すことになります。「あとで判明して申請そのものが止まる」より、先に共有しておくほうが、結果的にお互いのためです。

ずんだもんがノートにメモを取り、四国めたんが見守っている

ポイント③:事務所に「専任の宅建士」がいないと免許は下りない

3つ目は、過去ではなくこれからの体制の話です。

5条1項15号は、事務所について31条の3に規定する要件を欠く者を欠格事由としています。31条の3は宅地建物取引士の設置義務、つまり専任の宅建士を置いていない事務所では、そもそも免許が下りないという規定です。

人数は「5人に1人」

必要な人数は、宅建業法施行規則15条の5の3で、事務所において宅建業の業務に従事する者の数に対する専任の宅建士の数の割合が5分の1以上と定められています。いわゆる「5人に1人」です。

従業者5人までなら専任1人、6〜10人なら2人、という数え方になります。一人で開業するなら、自分が専任の宅建士になれば要件を満たします。

しかも31条の3第2項に、宅建業者(法人ならその役員)自身が宅建士であるときは、その者が主として業務に従事する事務所については専任の宅建士とみなすという規定があります。一人社長で宅建士、という形は法律がきちんと想定しているわけです。

「専任」は常勤かつ専従

ただし、専任と認められるにはその事務所に常勤していることと、宅建業の業務に専ら従事していることが必要です。

そのため、会社員を続けながら、名前だけ専任の宅建士になる、という形は認められません。「副業として週末だけ不動産業を」という設計を考えている方は、ここが最初の壁になります。私自身、開業の順番を考えるうえでいちばん悩んだのがこの点でした。

なお、31条の3第3項は、既存の事務所が要件を欠くに至ったときは2週間以内に適合させるための措置を執らなければならない、としています。専任の宅建士が退職した場合の話ですが、開業後も頭に入れておきたい期限です。

申請前に取っておく2つの証明書

ここまでの内容は、申請の際に書面で証明することになります。役員・政令使用人・専任宅建士の全員分について、次の2つを用意するのが一般的です。

  • 身分証明書……本籍地の市区町村役場で取得します。運転免許証のことではなく、破産手続開始の決定を受けていないこと等を市区町村が証明する公的書類です
  • 登記されていないことの証明書……法務局(本局)で取得します。成年後見等の登記がされていないことの証明です

どちらも窓口ならその日のうちに取れますが、郵送だと往復で2週間ほどみておくと安心です。本籍地が遠方の方は特に、早めに動いておくと申請スケジュールが崩れません。

また、免許申請そのものにかかる標準処理期間はおおむね30〜40日。そのあと保証協会への加入手続きが続きます。書類1枚の取り寄せが遅れると、開業日が1か月ずれることもあります。

開業の事務手続きは、無料で整えられるところから

免許の見通しが立ったら、次は開業そのものの手続きです。個人事業として始めるなら開業届と青色申告承認申請書を税務署に出しておくと、最大65万円の青色申告特別控除が使えます。

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まとめ:確認するのは3つだけ

宅建業の免許が下りない人——欠格事由について、開業前に確認したいのは次の3つです。

  • ①過去5年……拘禁刑以上の刑、一定の罪の罰金、免許取消しや不正行為。起算点は「刑の執行が終わった日」。執行猶予の満了後・破産からの復権後は該当しません
  • ②本人以外……法人の役員、個人・法人を問わず政令で定める使用人も同じ基準で見られます。肩書きではなく実質的な支配力で判断されます
  • ③事務所の体制……専任の宅建士を「5人に1人」以上。常勤かつ専従が条件で、会社員との兼業では認められません

①と②に心当たりがなければ、実質的に気にすべきなのは③だけです。多くの人にとって、免許の欠格事由は「確認して安心するための項目」だと思ってください。

そのうえで、確認はできるだけ早く。事務所を借りてから、保証協会の申込みをしてから発覚すると、動いた分だけ費用が無駄になります。私は物件を探しはじめる前に、まず身分証明書を取り寄せました。

免許が下りたら、次はお客さまに見つけてもらう番です。「開業したけれど、ホームページをどうしたらいいか分からない」という方は、宅建士・FP2級の私が ココナラの【ホームページ制作】 でご相談に乗っています。気になる方はぜひ。

※本記事は宅地建物取引業法および同法施行規則の条文に基づいて執筆していますが、個別の事情によって判断が分かれる場合があります。実際の申請にあたっては、必ず免許権者(都道府県の宅建業免許担当課)または専門家にご確認ください。

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