「宅建業法はなんとかなる。でも権利関係になると、途端に手が止まる」——そんな声を、毎年この時期にたくさん聞きます。
民法は条文の数が多く、読んでも読んでもキリがない。過去問を解いても半分しか合わない。そのうち「権利関係が解けない自分は合格できないのでは」と、勉強そのものが重たくなってしまう。私も受験生時代、まったく同じ場所でつまずきました。
でも、宅建試験は権利関係で満点を取る試験ではありません。むしろ、権利関係を「半分でいい」と割り切れた年に、私は初めて合格ラインを超えました。
この記事では、宅建士の私が権利関係で何点取れば受かるのかという目安と、「捨てる論点」と「拾う論点」を分ける3つのコツを、宅建士の目線で整理します。2026年(令和8年度)の試験日は10月18日(日)。この記事が公開される8月24日から数えると、残りは約8週間です。ここからの2か月は、勉強量より「どこに時間を置くか」で点数が変わります。
権利関係は「14問中7点」で合格ラインに届く
まず、宅建試験50問の内訳を確認しておきましょう。
| 科目 | 出題数 | 目標点の目安 |
|---|---|---|
| 宅建業法 | 20問 | 18点 |
| 権利関係(民法など) | 14問 | 7点 |
| 法令上の制限 | 8問 | 5点 |
| 税・その他 | 3問 | 2点 |
| 5問免除科目 | 5問 | 4点 |
| 合計 | 50問 | 36点 |
直近の合格点を見ると、令和7年度(2025年)は33点、合格率は18.7%でした。年度によって上下しますが、ここ10年はおおむね33〜38点の範囲に収まっています。
つまり、上の表のように権利関係を14問中7点(ちょうど半分)に設定しても、合計36点で合格ラインに手が届くということです。権利関係を10点、12点と取りにいく必要はありません。
ここを勘違いすると、いちばん時間がかかる科目に、いちばん長い時間を注ぎ込むことになります。それが、多くの受験生が伸び悩む正体です。

なぜ権利関係で消耗してしまうのか
権利関係が重たく感じるのには、はっきりした理由があります。
ひとつは範囲の広さです。民法だけで条文は1,000条を超えます。そこに借地借家法、区分所有法、不動産登記法が加わる。テキストのページ数も、宅建業法よりずっと多いのが普通です。
もうひとつは「理解しないと解けない」問題が混ざること。宅建業法のように「覚えていれば取れる」問題ばかりではなく、事例を読んで当てはめる力が要ります。だから、勉強時間に対して点数が伸びる実感が持ちにくい。
ただ、忘れてはいけないのが権利関係の1問も、宅建業法の1問も、同じ1点だということです。10時間かけて取る1点と、1時間かけて取る1点は、答案用紙の上ではまったく同じ価値になります。
だからこそ、権利関係は「全部やる」ではなく「拾うところを決める」のが正解です。ここからは、その分け方を3つのコツにまとめます。

コツ① 毎年出るところだけを、確実に拾う
権利関係14問のうち、出題される分野がほぼ決まっている枠があります。
- 借地借家法……借地から1問、借家から1問(計2問)
- 区分所有法……1問
- 不動産登記法……1問
この4問は、民法本体に比べるとルールが限られていて、暗記で戦えるのが特徴です。借地借家法は「存続期間」「更新」「対抗要件」、区分所有法は「集会の決議要件(過半数・4分の3・5分の4)」といった具合に、問われる場所が繰り返されます。
残る民法10問についても、頻出テーマは絞れます。意思表示・代理・時効・相続・抵当権・債務不履行と解除——このあたりは、毎年どれかが顔を出します。まずはここを過去問で回す。
私が失敗していたのは、テキストの1ページ目から順番に完璧を目指していたことでした。順番どおりに進めると、いちばん出題が薄いところに、いちばん元気なうちの時間を使ってしまいます。過去問で「よく出る順」に並べ替えてから勉強するだけで、同じ時間の価値がまったく変わります。
「権利関係の考え方がどうしても入ってこない」という方は、独学にこだわらず講義を1本聞いてみるのも近道です。私も、代理と相続だけは人の説明を聞いてようやく腑に落ちました。宅建士講座・ゼロから始めて1年合格! のような講座は、苦手分野だけをつまみ食いする使い方もできます。![]()

コツ② 長文の判例問題は「捨てる勇気」を持つ
権利関係には、毎年誰も解けない問題が数問混ざります。判例をそのまま長文で引いてきて、4つの選択肢すべてが微妙に違う——というタイプです。
この手の問題は、最初から取りにいかないと決めてしまってかまいません。理由は3つあります。
- 対策コストが高すぎる(1問のために判例集を読む時間はない)
- 本番で時間を吸われる(1問に10分かけると、業法を3問落とす)
- 受験生の多くが落とすので、差がつかない
実際、令和7年度の試験では、選択肢を1つずつ判定しないと答えが出ない「個数問題」が過去最多の11問出題され、合格点が33点まで下がりました。難しい年ほど、難問を捨てて基本問題を守った人が受かっています。
本番での目安は「1問3分」。3分考えて筋道が見えない問題は、いったんマークだけ塗って次へ進みます。全部解き終わってから戻ればいい。捨てるとは、放棄することではなく順番を後ろに回すことです。
普段の勉強でも同じで、過去問で3回連続して間違える難問は、いったん付箋を外して構いません。その時間を、次のコツ③に回してください。
コツ③ 浮いた時間は、そのまま宅建業法に置く
権利関係を「7点でいい」と決めると、勉強時間に余白が生まれます。その余白の置き場所は宅建業法一択です。
理由は単純で、宅建業法は20問という最大ボリュームでありながら、覚えれば取れる科目だから。範囲が狭く、過去問の焼き直しが多く、努力が点数に直結します。ここで18点取れる人と14点しか取れない人の差は、そのまま合否の差になります。
おすすめの配分は、残り2か月をこう区切ることです。
- 勉強時間の半分……宅建業法(20問/目標18点)
- 4分の1……法令上の制限+税・その他+免除科目(16問/目標11点)
- 4分の1……権利関係の頻出分野だけ(14問/目標7点)
この配分で回すと、模試の点数の伸び方が変わります。私自身、4回落ちたあとに合格した年は、権利関係の勉強時間を思い切って減らした年でした。減らしたのに権利関係の点数は落ちなかった——頻出分野に絞ったぶん、繰り返す回数が増えたからです。
「自分の配分がこれで合っているか不安」という段階なら、模試や講座の分析ツールで客観的に見てもらうのも手です。
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
まとめ|権利関係は「半分」でいい
今日の要点を、もう一度だけ。
- 権利関係は14問中7点で十分。合計36点なら、近年の合格ライン(33〜38点)に届く
- コツ① 借地借家法・区分所有法・不動産登記法の4問+民法の頻出テーマから拾う
- コツ② 長文の判例問題は捨てる。本番は「1問3分」で見切る
- コツ③ 浮いた時間は宅建業法へ。20問で18点を守るほうが、合格には直結する
権利関係が解けないことは、合格できない理由にはなりません。解けない問題があるまま受かるのが、宅建試験です。
2026年(令和8年度)の試験日は10月18日(日)。残り約8週間、「全部やる」を手放して「どこで点を取るか」を決めるところから始めてみてください。
