宅建業で開業したら広告に要注意|処分を招かない3つのルール|宅建士が解説

不動産経営
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宅建業の免許が下りて、事務所も整って、いよいよ営業開始——。
最初にやりたくなるのは、やはり集客です。ポータルサイトに物件を載せて、チラシを刷って、SNSでも発信して。

ところが不動産の広告には、「出していい時期」「必ず書かなければいけないこと」「盛ってはいけない線」が法律で決まっています。しかもこれ、知らずに破ってしまうと、行政からの監督処分の対象になります。開業一年目でつまずくには、あまりに惜しいところです。

この記事では、宅地建物取引業法が定める広告のルールを3つに整理します。宅建試験で「32条・33条・34条」として勉強した内容が、実務ではこう効いてくる——という視点でまとめました。

不動産広告のルールは「三本柱」で覚える

まず全体像です。宅建業法の広告規制は、条文が並んでいる順に読むと、きれいに三本柱になっています。

  • 33条……広告を出していい時期の制限
  • 34条……広告に取引態様を書く義務
  • 32条……誇大広告の禁止(盛りすぎ・おとり広告)

つまり「いつ出すか」「何を書くか」「どこまで書いていいか」の3点セットです。試験では別々の論点として出てきますが、実務では1枚のチラシに3つとも同時に効いてきます。

ここでいう「広告」は紙のチラシだけではありません。自社ホームページ、不動産ポータルサイトへの掲載、新聞折込、看板、そしてSNSの投稿も全部が広告です。媒体を問わず同じルールがかかる、と考えてください。

開業の書類と印鑑を前に四国めたんが手順を説明している

ルール①:工事が終わる前は、許可・確認が下りるまで広告できない(33条)

1つ目が、いちばんうっかりやりがちなところです。

宅建業法33条は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、その工事に必要とされる都市計画法29条1項・2項の許可、建築基準法6条1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、その宅地・建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならないと定めています。

かみくだくと「確認が下りるまでは、広告そのものが禁止」

建物を建てるなら建築確認、宅地を造成するなら開発許可。これが下りる前は、その物件の広告を出してはいけません。

ここで大事なのは、「契約してはいけない」ではなく「広告してはいけない」という点です。契約の制限(36条)とは別に、広告そのものが止められています。ですから——

  • 「建築確認申請中! 近日販売開始」というチラシ …… アウト
  • 「◯◯町に新築分譲マンション計画進行中」という予告的な掲載 …… アウト
  • ポータルサイトに「価格未定・確認申請中」で先に枠を取る …… アウト

「まだ売っていないから大丈夫」は通用しません。問い合わせを集める行為そのものが規制されていると理解しておくのが安全です。

賃貸の広告も対象になる

条文は「売買その他の業務に関する広告」と書いています。売買だけでなく、貸借(賃貸)の広告も33条の対象です。新築アパートの入居募集を、確認が下りる前にポータルへ出す——これも同じくアウトになります。

(なお、試験対策としては「33条=広告は全部ダメ/36条=契約は貸借だけセーフ」という対比で覚えるところです。実務でも、この2つを混同しないことが大事です。)

開業したらこうする

売主業者や元付業者から資料を受け取ったら、確認済証(または開発許可通知書)の日付を必ず控える。そして掲載日が確認日より後になっているかをチェックする。この2ステップを社内ルールにしておくだけで、33条違反はほぼ防げます。

私自身、開業準備で不動産会社の広告物を眺めていて、「なぜ販売開始日がそろっているのか」の理由がやっと腑に落ちたのがこの条文でした。業界の慣習ではなく、法律がそうさせているわけです。

ずんだもんと四国めたんが二人でガッツポーズをしている

ルール②:広告には「取引態様の別」を必ず書く(34条)

2つ目は、地味ですが毎回必ず効いてくるルールです。

34条1項は、宅建業者が宅地・建物の売買、交換、貸借に関する広告をするときは、自ら当事者となるのか(売主・貸主)、代理なのか、媒介なのか——この「取引態様の別」を明示しなければならないと定めています。

そして34条2項が、注文を受けたときは、遅滞なく、注文をした人に対して取引態様の別を明らかにしなければならないとしています。

ポイントは「2回ある」こと

ここが試験でも実務でも要注意です。明示のタイミングは広告のときと、注文を受けたときの2回。「広告に書いてあるから、問い合わせのときは省略していい」とはなりません。

逆にいえば、お客様から電話やメールで問い合わせを受けたら、その場で「この物件は当社が媒介として扱っています」と伝える——それが法律上の義務だということです。

なぜこれが必要なのか

取引態様によってお客様が払う金額が変わるからです。売主業者から直接買えば仲介手数料はかかりませんが、媒介なら報酬が発生します。代理なら、また扱いが変わります。

お客様からすれば「この会社に頼むといくらかかるのか」の前提情報です。だから最初に開示させる。そう考えると、暗記事項ではなく当たり前の話に見えてきます。

SNSでの発信も忘れずに

開業したての方がいちばん抜けやすいのがSNSです。インスタやXに物件の写真を載せて紹介する——あれも広告です。「媒介」「売主」などの取引態様を、投稿の中にきちんと入れてください

ちなみに34条違反は、宅建業法65条2項2号により業務停止処分の対象として明記されています。「たった一行の書き忘れ」で済む話ではない、ということです。

四国めたんが説明し、ずんだもんがうなずいて聞いている

ルール③:「著しく」盛らない・おとり広告をしない(32条)

3つ目が、罰則まで用意されているいちばん重いルールです。

32条は、宅建業者が業務に関して広告をするときに、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない、と定めています。

どこについての表示が対象か

条文が具体的に挙げているのは、次の項目です。

  • 宅地・建物の所在、規模、形質
  • 現在または将来の利用の制限
  • 環境交通その他の利便
  • 代金・借賃等の対価の額、その支払方法
  • 代金・交換差金に関する金銭の貸借のあっせん(住宅ローンの手配)

物件そのものだけでなく、お金まわりとローンのあっせんまで入っているのがポイントです。「頭金ゼロで買えます」といった資金計画の見せ方も、この条文の射程に入ります。

「おとり広告」も32条違反になる

実務でとくに問題になるのがおとり広告です。

売る意思のない好条件の物件を出して客を集め、実際には別の物件をすすめる。あるいはすでに成約済みの物件を消さずに載せ続ける。さらに、そもそも存在しない物件を載せる「虚偽広告」。

これらについては、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」で、32条の適用があると整理されています。「誇大に書いていないからセーフ」ではありません。載せ続けること自体が違反になり得ます。

罰則の重さ

32条違反には、宅建業法81条1号により6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方(併科)という罰則が定められています。あわせて65条2項2号で業務停止処分の対象にもなり、情状が特に重ければ免許取消しもあり得ます(66条1項9号)。

「拘禁刑」は懲役と禁錮が一本化された新しい刑の名称です。試験勉強で「懲役」と覚えた方は置き換えておいてください。

数字と用語には業界共通のルールがある

宅建業法とは別に、業界団体の「不動産の表示に関する公正競争規約」という自主ルールもあります。有名なところでは——

  • 徒歩1分=道路距離80メートル。端数は切り上げ(表示規約施行規則9条)
  • 「新築」と書けるのは、建築後1年未満かつ未入居のものだけ

「駅から徒歩3分」と書くには、道路に沿って測って240メートル以内である必要があります。直線距離ではありません。この手の用語は、感覚で書くと事故ります。開業したら、規約は一度通しで目を通しておく価値があります。

開業前にそろえておきたい「広告チェックリスト」

3つのルールを、実際の作業手順に落とすとこうなります。広告を出す前に毎回この順で確認してください。

  1. 確認済証・開発許可の日付を見た?(33条)……工事完了前の物件なら必須
  2. 取引態様を書いた?(34条1項)……「売主」「代理」「媒介」のどれか
  3. 問い合わせが来たら口頭でも伝える体制になっている?(34条2項)
  4. 徒歩分数・面積・「新築」の使い方は正しい?(32条・表示規約)
  5. 成約済みの物件を消す担当と頻度を決めた?(32条・おとり広告)

とくに5番目は、誰も担当を決めないまま放置されがちです。開業初期の少人数のうちに、掲載を落とすタイミングだけは決めておいてください。

そしてもうひとつ、開業の手続き面も忘れずに。個人で始めるなら開業届と青色申告承認申請書が最初の書類になります。私も準備を進めるなかで、この2枚を早めに出しておいてよかったと感じました。

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まとめ:広告は「集客の手段」であり「信用の入口」

今日の3つのルールを、もう一度だけ。

  • ①出す時期……工事完了前は、建築確認・開発許可が下りるまで広告できない(33条)
  • ②書くこと……取引態様を、広告のときと注文を受けたときの2回明示する(34条)
  • ③盛らない……著しい誇大表示とおとり広告は禁止。罰則もある(32条・81条1号)

広告規制というと「取り締まられるもの」という印象がありますが、実際に守っているのはお客様の信頼と、自分の免許です。開業したての会社は実績で選ばれません。「この会社の情報は正確だ」という一点で選ばれます。

宅建試験で32条・33条・34条を勉強した方は、すでに武器を持っています。あとは、それを毎日の作業手順に落とし込むだけです。

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※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。

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