宅建業の開業、免許が下りたら終わりじゃない|営業初日までに事務所へそろえる3つのもの

不動産経営
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宅建に合格して、免許の申請書類も無事に受理され、ついに「宅地建物取引業免許」の通知が届いた——。ここまで来ると、「よし、明日からお客様を迎えられる!」と気持ちが一気に前のめりになります。私の周りでも、免許通知の写真をうれしそうに見せてくれた方が何人もいました。

ところが実務では、免許が下りた日=営業を始められる日ではありません。宅建業法には「これを済ませてからでないと事業を開始してはいけない」という手続きと、事務所に必ず備えなければならないものがはっきり決められています。ここを知らずに看板を出してしまうと、行政指導や罰則の対象になることもあります。

この記事では、宅建士・FP2級として不動産の現場を見てきた私が、免許が下りたあと、営業初日までに事務所へそろえる3つのものを、できるだけやさしく整理します。しかも2025年(令和7年)に様式やサイズのルールが変わった項目もあるので、古い情報のまま準備しないよう注意してください。

大前提:営業を始めてよい「スタートライン」はどこか

まず押さえたいのが、宅建業法25条の考え方です。宅建業者は営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始してはならないと定められています。免許通知が届いただけでは、まだスタートラインの手前なのです。

  • 営業保証金を自分で供託する場合:主たる事務所(本店)1,000万円、従たる事務所は1か所につき500万円
  • 保証協会(ハトマーク・ウサギマーク)に加入する場合:弁済業務保証金分担金は主たる事務所60万円、従たる事務所は1か所につき30万円で足ります

一人で開業する方のほとんどが、負担の小さい後者(保証協会加入)を選びます。そして注意したいのが期限で、免許を受けた日から3か月以内に届出をしないと催告を受け、さらに1か月以内に届け出なければ免許を取り消されることがあるという点です。「免許が下りたからひと安心」と手続きを止めてしまうのが、いちばん危ない状態だと覚えておいてください。

ここをクリアして、はじめて次の「事務所を整える」段階に進みます。ここからが本題です。

そろえるもの①:宅地建物取引業者票(標識)

宅建業法50条1項では、宅建業者は事務所などの場所ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲げなければならないと定められています。この標識が、いわゆる「宅地建物取引業者票」です。不動産会社に入るとカウンターの近くに掛かっている、あの金色や白のプレートですね。

記載するのは、免許証番号・免許の有効期間・商号(名称)・代表者氏名・この事務所の代表者氏名・専任の宅地建物取引士の数・主たる事務所の所在地などです。ポイントは、お客様が見える場所に掲げること。事務所の奥の壁や、扉の裏では意味がありません。

【要注意】令和7年に様式とサイズのルールが変わりました

ここが今回いちばんお伝えしたい部分です。宅地建物取引業者票は、令和7年(2025年)4月1日から様式が改正されました。主な変更点は次のとおりです。

  • 「代表者氏名」欄の次に「この事務所の代表者氏名」欄が新設された
  • 「専任の宅地建物取引士の氏名」欄が「専任の宅地建物取引士の数」に変更され、あわせて宅建業に従事する者の数を記載する形になった
  • 標識のサイズは、令和7年12月1日以降「縦25cm以上・横35cm以上」に見直された(A3判の用紙で対応できるサイズ)

ネット通販や古い書式集には、改正前の様式のまま売られているものがまだ残っています。せっかく買ったのに使えない、という残念な失敗を避けるため、必ず免許を受ける都道府県庁のホームページから最新様式をダウンロードして確認してください。自治体によって記載の運用が微妙に違うこともあるので、迷ったら窓口に聞くのが確実です。

そろえるもの②:報酬額の掲示(報酬額表)

次に忘れやすいのが、報酬額の掲示です。宅建業法46条4項では、宅建業者はその事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならないと定められています。標識とセットで壁に貼られている、あの細かい文字の表がこれです。

「うちは仲介手数料をちゃんと説明するから大丈夫」ではなく、掲示すること自体が義務である点がポイントです。しかも報酬の上限を超えて受け取った場合や、この掲示を怠った場合には罰則(罰金)の対象になり得ます。開業初日から堂々と営業するために、標識と一緒に必ず用意しておきましょう。

なお、この掲示義務は「事務所ごと」と書かれているとおり、事務所に必要なものです。分譲現地や案内所には標識は必要ですが、報酬額表までは求められていません。標識=事務所も案内所も必要/報酬額表=事務所のみ——ここは宅建試験でもよく問われる論点なので、受験生の方もぜひ覚えてください。

そろえるもの③:帳簿・従業者名簿・従業者証明書

3つめは、壁に貼るものではなく「備え付ける」書類のセットです。実務では後回しにされがちですが、立入検査で必ず見られるところでもあります。

  • 帳簿(宅建業法49条):事務所ごとに備え、取引のあったつど、年月日・物件の所在と面積などを記載します。保存期間は各事業年度の末日に閉鎖して5年間。ただし自ら売主となる新築住宅の取引に関する部分は10年間です。
  • 従業者名簿(宅建業法48条3項):事務所ごとに備え、従業者の氏名・証明書番号などを記載します。保存期間は最終の記載をした日から10年間。取引の関係者から請求があれば、閲覧させる義務もあります。
  • 従業者証明書(宅建業法48条1項):従業者に携帯させる義務があります。正社員だけでなく、役員・パート・アルバイトも対象。一人で開業する場合は、代表者である自分自身の分も必要です。

こちらも令和7年4月1日から様式が改正され、従業者名簿の「性別」「生年月日」の記載が不要になりました。帳簿・名簿はいずれも電磁的方法(パソコンのデータ)での保存が認められているので、開業時にエクセルのひな型を1つ作っておくと、あとがとても楽になります。

そして事務所の準備と並行して、早めに済ませておきたいのが開業届と青色申告承認申請書の提出です。青色申告なら最大65万円の控除が受けられ、開業初年度の資金繰りがぐっと楽になります。私自身、当時これを知っていたらもっと早く動けていました。開業の第一歩は弥生のかんたん開業届(無料)で。画面に沿って入力するだけで、開業届と青色申告承認申請書が作れます。

開業前チェックリスト

最後に、営業初日までの流れを一枚にまとめます。

  • □ 保証協会に加入(または営業保証金を供託)し、免許権者へ届出を済ませた
  • 宅地建物取引業者票を、令和7年改正後の様式で作り、見やすい場所に掲げた
  • 報酬額表を事務所の見やすい場所に掲示した
  • 帳簿・従業者名簿のひな型を用意し、事務所に備え付けた
  • 従業者証明書を自分(と従業者)の分だけ作った

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まとめ

免許が下りた瞬間は、本当にうれしいものです。でも本当のスタートは、保証協会の届出を終え、事務所に標識・報酬額表・帳簿類がそろった日から始まります。どれも数万円と数時間で用意できるものばかりなのに、抜けていると「宅建業法を知らない会社」に見えてしまう——それがいちばんもったいないところです。

逆にいえば、この3つがきちんとそろっている事務所は、初めて来たお客様にも安心感を与えます。宅建で学んだ50条・46条・49条が、そのまま自分の看板になる瞬間です。開業の準備を進めている方は、ぜひ今日のチェックリストを印刷して手元に置いてみてください。

また、事務所が整ったら次に必要になるのが「お客様に見つけてもらう入口」です。「ホームページを作りたいけれど何から手を付ければいいか分からない」という方は、宅建士・FP2級の私が ココナラの【ホームページ制作】 で相談に乗っています。気になる方はぜひ。

※本記事は2026年7月時点の情報をもとに、宅地建物取引業法および各自治体の公表資料を参照して作成しています。手続きの細かい運用は都道府県によって異なる場合があるため、最終的な判断は管轄窓口にご確認ください。

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