日曜日の夜。参考書を開いてはみたものの、なかなか集中できない。スマホを見れば「模試で40点だった」という投稿が流れてきて、書店に行けば新しい直前対策の問題集が平積みになっている。
「このままで間に合うのかな」
「もう1冊やったほうがいいのかな」
令和8年度(2026年度)の宅建試験は10月18日(日)。この記事が公開される9月13日から数えて、ちょうどあと5週間(35日)です。
私自身、宅建に合格するまでに5回受験しました。落ちた年ほど、この時期に「あれもこれも」と手を広げていたのを覚えています。今日は、直前期の焦りとの付き合い方を、「増やさない」という一つの軸でお話しさせてください。
「あと5週間」で焦るのは、あなただけではありません
9月の後半に入ると、勉強のペースが安定してきた人ほど、逆に不安が強くなります。理由はシンプルで、残り日数が「数えられる」ようになるからです。
6月や7月は「まだ時間がある」で済みました。ところが9月に入ると、カレンダーを見れば残りが一目で分かってしまう。そして人は、残り時間が見えた瞬間に「今の自分では足りない」と感じるようにできています。
これは意志が弱いからでも、勉強が足りないからでもありません。直前期に入った人ほぼ全員が通る道です。まずはそこだけ、確認させてください。

直前期の焦りの正体は「量」ではなく「確かめられなさ」
「もっとやらなきゃ」と思うとき、私たちは自分の不安を勉強量の不足だと解釈しがちです。でも、実際に苦しいのは量ではないことが多いのです。
本当に苦しいのは、「今やっていることが正解なのか、誰も教えてくれない」という確かめられなさです。
だから新しい教材が魅力的に見えます。新しい1冊には「これをやれば大丈夫ですよ」という顔があるからです。けれど、新しい1冊を買っても、確かめられなさは消えません。むしろ「まだ手をつけていないもの」が1冊増えるぶん、不安の総量は増えてしまいます。
ここが直前期のいちばんの落とし穴だと、私は思っています。

直前期に「増やしたくなる」3つの理由
なぜこの時期に手を広げたくなるのか。私の失敗も含めて、3つに整理してみます。
理由1:情報が入ってきすぎる
9月は、予備校もSNSも動画も、直前情報が一気に増える時期です。「今年の狙われる論点」「絶対に押さえるべき10項目」——どれも親切な情報なのですが、全部を追いかけると、自分の計画が毎日書き換わってしまいます。
私が4回目に落ちた年は、まさにこれでした。人の言うことを全部やろうとして、結局どれも中途半端なまま本番を迎えてしまったのです。
理由2:「まだやっていない範囲」ばかりが目に入る
人間の目は、埋まっているマスより空いているマスを見つけるのが得意です。テキストの半分を仕上げていても、意識は残り半分に向きます。
そして「まだやっていない範囲がある=教材が悪い」と結びついたとき、新しい参考書に手が伸びます。でも冷静に考えると、教材を変えても、やっていない範囲がやってあることにはなりません。
理由3:点数の上下を、教材のせいにしてしまう
直前期の模試や過去問は、点数が上下して当たり前です。出題される分野の組み合わせが毎回違うのですから、38点の次に31点でも、それは実力が落ちたわけではありません。
けれど点数が下がった日は、原因を外に探したくなります。「この問題集が悪いのかもしれない」と。点数が下がった直後の判断は、たいてい間違えます。これは自分への戒めでもあります。

直前期に「増やさない」3つの考え方
ここからが本題です。残り5週間、私が今の自分に伝えるとしたら、この3つを言います。
考え方1:今ある1冊を、あと3周する
新しい教材には、「どこに何が書いてあるか覚え直す」という見えないコストがかかります。1冊を使い込んだ人は、「あの論点はテキストの右下にあった」という記憶ごと引き出せます。この検索スピードが、本番の2時間で効いてきます。
やることは足し算ではなく、回数です。今持っている過去問集を、間違えた問題だけでいいので、あと3周してみてください。1周目より2周目、2周目より3周目のほうが、圧倒的に速く終わります。
それでも「どうしても1冊足したい」と感じるなら、追加は「今持っている教材の弱点を、はっきり言葉にできるとき」だけにしてください。「なんとなく不安だから」で買った本は、9割方、本番まで開かれません。
考え方2:「取る問題」と「捨てる問題」を先に決める
宅建試験は50問で、合格ラインは年度によって変わりますが、おおむね35点前後で推移しています。裏を返せば、15問近くは落としても合格できる試験だということです。
出題数の内訳は、宅建業法が20問、権利関係が14問、法令上の制限が8問、税・その他が8問(登録講習修了者が免除される5問を含む)というのが例年の形です。
だとすれば、残り5週間で優先すべきは、問題数が多く、しかも得点が安定しやすい宅建業法です。ここを固めきる。そのうえで法令上の制限の数字まわりを詰める。逆に、権利関係の難問や税のマイナー論点を今から完璧にしようとするのは、費やす時間に対して見返りが小さくなりがちです。
「全部やる」をあきらめるのは怖いことですが、捨てる範囲を決めるのは、逃げではなく戦略です。決めた瞬間、やることが減って、気持ちが少し軽くなります。
考え方3:1日の終わりに「できたこと」を1行だけ書く
不安が大きくなる日は、決まって「できていないこと」だけを数えています。人間の頭は放っておくとそうなるので、意識的に逆をやる必要があります。
おすすめは、寝る前にノートやスマホのメモに1行だけ書くことです。
- 「今日は宅建業法の8問だけやった」
- 「30分しかできなかったけど、机には座った」
- 「35条と37条の違いを、やっと自分の言葉で言えた」
これを5週間続けると、本番前日に35行の記録が残ります。この35行は、当日の朝いちばんの支えになります。私が5回目に受かった年、試験会場で見返していたのは参考書ではなく、この手のメモでした。
それと、もうひとつ。勉強が続かない日は「なんのために受けるんだっけ」が見えなくなっている日でもあります。そんな日は、5分だけ合格後の求人を眺めてみるのも一つの手です。宅建士としてどんな働き方があるのか、資格手当がいくらつくのか。具体的な数字を見ると、机に戻る力が少し湧いてきます。私も当時これを知っていたら、もっと早く気持ちを立て直せていたと思います。
宅建Jobエージェントは不動産業界に特化した転職支援サービスで、登録は無料です。今すぐ転職しなくても、「合格したらこういう道がある」と眺めるだけで十分に意味があります。![]()
それでも不安な夜のために
ここまで「増やさない」と書いてきましたが、不安そのものをゼロにする必要はありません。不安なのは、それだけ本気だからです。
ただ、不安なときに動くと、人はいちばん取り返しのつかない方向(=手を広げる方向)に動きがちです。だから今日だけは、こう決めてみてください。
「10月18日までは、新しいものを買わない」
買い物をやめるだけで、残り5週間の計画は驚くほどシンプルになります。
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
まとめ
令和8年度の宅建試験まで、あと5週間。直前期に「増やさない」3つの考え方をおさらいします。
- 今ある1冊を、あと3周する——新しい教材には「覚え直すコスト」がかかる
- 「取る問題」と「捨てる問題」を先に決める——35点前後で受かる試験。宅建業法20問を最優先に
- 1日の終わりに「できたこと」を1行だけ書く——不安は、できていないことだけを数えるから膨らむ
5週間は、思っているより長いです。1日1時間でも35時間、1日2時間なら70時間。今からでも、宅建業法を固めきるには十分な時間があります。
焦って手を広げそうになったら、この記事のことを少しだけ思い出してください。あなたが今日開いたその1冊で、大丈夫です。
10月18日、同じ日に受ける仲間として、心から応援しています。
