はじめに
宅建士資格を取ったあと、「さあ、次はどうやって独立を目指そう?」と考える方は多いと思います。
実は、不動産開業において一番大切なのは免許申請や資金集めよりも、最初にしっかりとした事業計画を立てることです。
この記事では、私自身が開業準備を進める中で学んだことを交えながら、失敗しないための事業計画の立て方を解説します。
なぜ事業計画が大切なのか
私も不動産会社で働き始めた頃、先輩から「独立するなら数字と計画がすべてだ」と言われました。
行き当たりばったりでは、案件が取れずに資金が尽きてしまうことも珍しくありません。
また、融資を受ける場合や保証協会に加入する際にも、事業計画書の提出を求められることがあります。
事業計画は、自分の方向性を定める“羅針盤”であり、開業の必須アイテムだと感じています。
不動産業の種類を知る(事業モデルの選択)
不動産業といっても、実際にはさまざまな事業モデルがあります。
- 売買仲介:1件の報酬が大きいが、案件獲得の難易度は高い。
- 賃貸仲介:需要が安定しており、開業直後でも取り組みやすい。
- 賃貸管理:管理戸数を増やせば安定収入につながるストック型ビジネス。
- 買取再販・投資物件再生:リスクはあるが利益率が高く、差別化もしやすい。
👉 自分の強みや資金力、人脈を踏まえて、どの分野を軸にするか決めることが第一歩です。
ターゲット顧客を決める
誰に向けて事業をするかを明確にすると、戦略が立てやすくなります。
- ファミリー層、単身者、高齢者、投資家…
- 地域の人口動態や賃貸需要の動向を調査
- 「誰に」「どんな価値を提供するか」を一文でまとめる
例:「地域の築古戸建を再生し、低コストで住まいを探すファミリー層に提供する」
収支シミュレーションを立てる
事業計画の核心は「数字」です。
【例:賃貸仲介をメインにする場合】
- 1件あたりの仲介手数料:6万円
- 月に5件成約 → 30万円の売上
- 固定費(家賃・通信費・広告費など):16万円
- 粗利益:月14万円 → 年間168万円
👉 こうして数字を出してみると「このままでは生活できない」「もっと件数が必要」と現実が見えてきます。
短期・中期・長期の目標を設定する
- 短期(1年以内):免許取得、10件の成約
- 中期(3年以内):管理戸数50戸を目指す
- 長期(5年以上):売買仲介や再生事業に拡大
目標を分けることで、日々の行動がブレにくくなります。
事業計画書にまとめる(シンプルでOK)
- 事業概要
- 市場分析(地域の特性や競合状況)
- サービス内容
- 収支予測
- 将来ビジョン
👉 日本政策金融公庫のフォーマットを使うと、初めてでも作りやすいです。
私自身の学び
私は鳶職から宅建士を取り、不動産業界に転職しました。そこで感じたのは、稼いでいる会社は必ず明確な計画を持っているということです。
開業を目指す中で、私も「賃貸仲介を基盤に、築古戸建の活用を柱にする」という方向性を定めています。
この計画を立てたことで、行動が明確になり、情報収集や人脈作りも効率的に進められるようになりました。
まとめ
- 事業計画は、免許や資金準備よりも前に必ずやるべきこと。
- 「誰に」「どんなサービスを」「どれくらいの数字で」提供するかを明確にする。
- 紙に落とし込むことで、開業の第一歩が現実味を帯びてきます。
次回は 「STEP2 資金計画|不動産開業に必要なお金のリアル」 をお届けします。